きもの用語の基本

仕⽴て・着付け・⼿⼊れ

きものの⼿⼊れ

悉皆(しっかい)の仕事/キーワード解説

悉皆業とは
「悉皆」とは、「ぜんぶ」「残らず」という意味があり、きものの加工に関するあらゆることに対応してくれるところが悉皆業です。シミ抜きや染め替え、洗濯、寸法直し、仕立て直し、リフォームなどは勿論のこと、白生地から図案、染め、仕立てまで、希望通りに仕上げてくれます。お店によっては、「染め替え」しかできないところなどもありますので、どの範囲まで対応してくれるのかを確認しましょう。

下準備
渋札(しぶふだ)
その名の通り、札(名札)です。悉皆店にはたくさんのきものが集まってきます。そんな中できものをほどいてしまうと、ただの一枚の布になってしまい、見分けがつきません。そこでこの渋札の登場です。きものをほどく前に、表地、八掛、胴裏などに渋札をつけます。渋札には持ち主の名前のほかに、処理法も明記されており、加工指示書の役割もします。渋札は洗いや染色工程に耐えられるように、和紙に柿渋をひいた、丈夫な紙でできています。

解き(とき)
「解き」とはきものをほどくことをいいます。洗い張りをするきものは、渋札をつけたあと、糸を切って丁寧にほどいていきます。袷のきものの場合は、表地、八掛(裾回し)、胴裏に分かれます。ほどくときは仕立てた順が良いと言われますが、とくに順番はありません。

端縫い(はぬい)
きものは反物の状態では一枚につながっていますが、仕立てられると前身頃、後ろ身頃、袖など、何枚かに分かれます。これをロックミシンなどを使って元の一枚の布にする作業を「端縫い」といいます。

きものの洗濯
洗い張り
「洗い」と「張り」に作業が分かれます。「洗い」は反物にしたものを、界面活性剤(石けん)を使い、汚れを除去していきます。これにより、繊維の中にある不純物やほこりも取り除くことができ、生地の状態も回復します。「張り」は文字通り、布に張りをもたせる仕上げ加工です。洗濯後の反物に、蒸気をあててしわを伸ばしたり、糊を含ませて乾かし、張りを与えます。

水洗い
洗い張りの「洗い」の部分です。約1,5メートルの板の上で水を流しながら洗います。「ささら」や「たわし」を使って洗い、入念なすすぎをして洗剤が残らないようにします。きものは水で洗うのがベストなのですが、加工の状態によって水洗いができないものについては、生洗い(いきあらい)という洗揮発溶剤を使用して洗う方法もあります。

洗い・生洗い
きものをほどかず、仕立て上がった状態で洗う方法が「丸洗い」です。揮発洗いともいわれ、揮発溶剤を使用します。ようするにドライクリーニングです。いっぽう、「生洗い」は、きものを反物の状態に戻して端縫いしてから、揮発溶剤を使って洗う方法のことです。揮発溶剤は、きものに様々な加工(金彩、刺繍など)が施されている場合に、それらを傷めないために有効です。

染めの技法
色抜き
薬品を用いて、きものの色を抜く作業です。基本的に、絹に染料で染めてあるものは脱色できますが、もとの色が濃かったり、胡粉が使ってあるもの、墨や金、顔料で仕上げが施されているものについては、完全に脱色できない可能性があります。きものの地色を変えたいとき、薄い地色なら上から色をのせることができますが、濃い地色を薄くする場合は、ひとまず色を抜き、白生地に戻してから行う場合もあります。

引き染め
染色技法の一つです。別名「刷毛染め」といわれ、刷毛を使って地染めをする方法です。伸子(しんし)で張った生地に、豆汁(ご)や布海苔(ふのり)を塗り、乾燥後、刷毛に染料液を付け、生地に色を引くようにして染めるため、こう呼ばれます。そのいっぽうで、生地の両端を引っ張って染めることから、引き染めと呼ばれるといわれます。水洗いのあと、しみやカビを目立たなくするときにも多用されます。

浸染(しんせん)
通常、染料を溶かした高温の釜の中に、反物や糸を浸して染めることをいいます。布の種類によって、冷浴、温浴、煮沸浴などの処理方法をとります。色があせてしまったきものは、地色より濃い色を選ぶことで、浸染により元通りになります。

しごき染め
型友禅や小紋などの地色を染めるときに使われる染色法です。染料と糊の混じった色糊(別名:しごき糊)を、へらで生地にしごくように塗り付けて染めます。生地の表面だけが染まり、色が裏には浸透しないため、両面染めが可能になります。



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